法教育とは

  私たちの日々の生活は、法律によって支えられています。その法律は、法律専門家だけが知っていればいいというものではありません。専門家ではない一般市民も、自らの生活を支えている「法」について、最低限知っておくべきこと、身につけておくべきことがあります。
  法教育というのは、法律専門家を養成する法学教育(大学の法学部やロースクールでの法学教育)とは別に、一般の市民、児童・生徒が最低限知っておくべき、身に付けておくべき、基礎的な法的リテラシー(法に関する基礎的知識や技能などの資質を身につけて、これを主体的に活用していく能力)を養成する教育のことです。

「法的な疑問・被害を感じたときに動ける力」を育てる

  一般の市民、児童・生徒が最低限知っておくべき、身に付けておくべき、基礎的な法的リテラシーについて、その最低限の学力保障として初等中等教育でめざすべきものを「法的な疑問・被害を感じたときに動ける力」を身につけさせることだと、私は常々主張しています。

(1) 「法的な疑問・被害を感じる」ためには、物事を原則から考えることが大切です。
  例えば、働くときの契約「労働契約」では、その最低限度の契約条件=勤労条件は法律で定めるという原則が、日本国憲法27条に決められていて、これに基づいて「労働基準法」や「最低賃金法」など、様々な労働者保護の法律が作られています。ところが、がんばって働いてもこんなに賃金が安いのは何かおかしいよね、確か労働の契約の最低基準は法律で決めることになってたけど、私の契約は最低基準を満たしているのかな、何かヘンかも?おかしいかも?と気づいたときに、「こんな法律があるかも?」と調べてみたり、「相談してみよう」と考え、行動することができる。

(2) 「動ける力」の基礎体力部分は、「調べてみる」、知り合いに「相談してみる」という行動です。
  これだけでも、様々な法の情報に出会ったり、法律専門家に出会うきっかけとなったりしますし、市民のみなさんからの相談情報が、私たち法律専門家が社会問題に気づくきかっけとなって、社会を動かす原動力になることもあります。そして、この「調べてみる」「相談してみる」という「動ける力」を身につけることで、見つけた法律を使って問題を解決したり、裁判所の判断を求めて裁判を起こしたり、今ある法律の不備に気づいて法改正や法制定を求めたり、様々な行動の力をさらに身につけていってほしい。このように考えています。

フローチャート

私が取り組んでいる法教育

  私は、この「法的な疑問・被害を感じたときに動ける力」を身につけてもらうために、消費者教育、労働法教育、ドメスティックバイオレンスやセクシュアルハラスメントをテーマとした人権教育を、「法教育として」実施できるように、教員のみなさんと共に授業を開発したり、出張授業をさせていただいたりしています。

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